ミサイル時代 2019 2 24

書名 2020年「習近平」の終焉 アメリカは中国を本気で潰す
著者 日高 義樹  悟空出版

 中国は、理論構成を誤ったと言えます。
経済力も軍事力も科学技術も、
さらにドル対人民元という通貨においても、
アメリカと比較すると、大きな遅れがあるのに、
「米中2強時代」という幻想に取りつかれてしまった。
 もちろん、中国の政治指導者に、
そういう幻想を吹き込んだ学者や評論家に問題があったと思います。
 さらに、「中国を二階に上げてから、はしごを外す」という、
アメリカ流の策略があったかもしれません。
 いずれにせよ、中国の政治指導者は舞い上がってしまい、
さらに「虎の尾を踏む」ようなことをしてしまったのです。
 ペンス副大統領の強硬な演説に驚いた人が多いでしょうが、
あれは、ペンス氏の個人的な意見ではなく、
アメリカの「総意」に近いものがあります。
 もちろん、中国が「米中2強時代」と判断する、
合理的根拠があったと言えるでしょう。
 それは、私が何度も書きましたが、
今、時代は、ミサイル時代になったのに、
先進国の軍事指導者は、相変わらず、
戦車対戦車、戦艦対戦艦、戦闘機対戦闘機の戦いを夢見ているということです。
 しかし、安価な対戦車ミサイルで、高価な戦車を破壊できます。
携帯型地対空ミサイルで、非常に高価な攻撃ヘリを破壊できます。
 それどころか、価値が天文学的数字である空母を、
ミサイルで破壊しようと考えている国があります。
 もし、そんなことになったら、経済的な打撃が大きいうえに、
軍事的なショックが大きく、世論は厭戦気分が大きくなります。
 先進国の軍事指導者は、思考が米ソ冷戦時代のままで、
時計の針が止まっているのです。
 私は、2013年1月14日に「非対称の時代」という文章を書きました。
軍人だったら戦車対戦車で勝利することが夢かもしれませんが、
軍事的合理性を考えるべきでしょう。

非対称の時代 2013 1 14
 発展途上国の軍事指導者は、こう考えます。
「残念ながら、わが国では、工業力の塊である戦車を作ることはできない。
 戦闘機だって同じである。
機体を真似て作ることはできても、高性能なジェットエンジンは作れない。
 艦船も同じだ。
外見を真似て作ることはできても、高出力のエンジンは作れない。
 さあ、どうするか。
もはや、わが国は先進国に勝てないのか。
 ちょっと待て。
安価な対戦車ミサイルで、高価な戦車を撃破できると聞いたことがある。
 そうだ。
わが国でも、ミサイルならば開発できる。
対戦車ミサイルどころか対艦ミサイルや対空ミサイル、
いや弾道ミサイルだって作れる。
 さすがに米国まで届く長距離ミサイルは技術的に難しいが、
近距離の弾道ミサイルだったら、100発でも200発でも作れる。
こうしたミサイルを大量生産できる」
 このように発展途上国の軍事指導者は、現実的に考えますが、
先進国の軍事指導者は、相変わらず、
戦車対戦車、戦闘機対戦闘機、艦船対艦船の戦いを想定しています。
 実に、非対称の時代になったものです。
そう言えば、昔も似たようなことがありました。
 日本海軍は、戦艦対戦艦の戦いを夢見て、
世界最大の巨大戦艦「大和」を建造しましたが、
時は、空母の時代、いや航空戦力の時代になっていました。






















































































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